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上の兄の麻旗が、文机に向かい書き物をしていた。
頭を少し左へ傾けて、ピンと背筋を伸ばしている。意外に広い背中が好きなんだけど、そう長くは見ていられない。振り返らせたくって、仕様がない。
ギュと抱き付くと兄が振り返る。
肩にすがりつくようにして膝の上に乗ると、暖く大きい手が背中を撫でてくれた。
「どうした、」
「なんでもないよ。」
知らぬ振りをして抱きつくと抱きしめてもらえる。
兄にすれば、犬か猫でも構っている気分なんだろうけど、ぼくはそれで満足。
いつまで経っても子ども扱いされるのは嫌なのに、こんな風に甘えられるなら悪くないと思えてしまう。
我ながら単純。
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